趣味活動を導入することで離床を促し生活範囲が拡大したケース

事例

日常生活活動の低下、転倒が増えたことから独居生活が困難となり、サービス付き高齢者住宅に入居しました。高血圧、両変形性膝関節症、両肩関節周囲炎などの既往歴があり、時間の見当識低下など認知機能の低下がみられていました。施設では自室から出ず、他者交流に対して消極的でした。車椅子レベルの生活でしたが、移乗動作時に自室で転倒することがありました。通所介護(デイサービス)に対して拒否があり、利用は困難でした。廃用症候群・転倒予防を目的に訪問看護が開始となりました。

⽀援内容

訪問看護は週2回、理学療法士と作業療法士が訪問しました。理学療法では活動範囲を拡大するため、自室から食堂までの歩行練習、運動療法を中心に実施しました。作業療法では離床時間を拡大するため、ご本人が得意としていた手芸を導入し、ご本人に手芸の先生の役割を担ってもらいながら関わっていきました。

利⽤後の経過

ベッド臥床の生活で、運動に対しては消極的でしたが、手芸作業を継続することで姿勢の崩れは改善し、座位時間は徐々に延長しました。運動療法に対して意欲的になり、歩行器を使用することで歩行距離が延長しました。施設職員に声掛け・見守りを協力頂き、1日2回は食事のため自室から食堂まで行くようになり、生活範囲が拡大しました。食堂に行くことが楽しみとなり、時間を自ら確認するようになりました。また、他者との交流が生まれ、日常生活が活性化されています。