変形性膝関節症、認知症の進行から服薬支援を工夫したケース

事例

変形性膝関節症、軽度認知障害に対して、服薬指導、疼痛管理、日常生活の支援を目的に隔週で訪問看護を利用していました。内服薬は自己管理され、内服カレンダーを利用して服用していました。介入から1年後、膝関節痛の増悪、認知機能の低下から徐々に低活動になり、内服カレンダーを活用できず内服薬の飲み忘れが目立ってきました。

⽀援内容

訪問看護は週1回、健康状態の観察、内服薬の管理を目的に看護師が訪問しました。内服薬の自己管理は問題ないという自覚があり、他者の支援に対して拒否的でした。訪問看護で内服の必要性を説明しながら1週間の薬を内服カレンダーにセットすることで、確実に服用できるようになりました。次第に、膝関節痛や腰痛が増強したことで、内服カレンダーの設置場所まで移動することが億劫になり、服用を忘れることが増えてきました。また、1日分の内服薬を全てポケットに入れ服用を忘れることが度々ありました。経過を観察しながら、内服カレンダーの設置場所を変更し、日常生活の動線上に朝・昼薬を準備し、就寝直前まで過ごす場所に夕・眠前薬を準備することにしました。

利⽤後の経過

内服カレンダーの設置場所を動線上に変更することで、内服薬の飲み忘れは改善しています。ご家族は就労されているため早朝から夜間まで不在ですが、ご家族に協力を依頼することで、夕・眠前薬は確実に服用できるようになています。 訪問看護の支援を継続していますが、膝関節痛の増強、低活動による下肢筋力の低下から、立位や歩行は不安定な状態となり、内服カレンダーから内服薬を回収することが億劫になっています。また、回収した内服薬を散らかっているテーブルの上に置くことで飲み忘れがみられています。現在は内服カレンダーの活用を中止し、食事用テーブル上に目立つ仕分け用の箱を設置し経過を観察しています。訪問看護では身体機能や認知機能の状態に応じて、内服薬の管理方法を変更し確実に服用できる方法を検討していきます。

要介護2から1年後、介護保険非該当、仕事復帰した症例

事例

パーキンソン症候群の60代女性。自宅階段から転落し、脊柱圧迫骨折加療後、四肢の痛みと著しい機能低下あり、神経内科で内服調整していました。意欲低下や傾眠傾向、下肢の脱力から転倒を繰り返し、生活機能の低下がみられていました。転倒予防、日常生活活動の向上を目的に訪問看護が開始となりました。

⽀援内容

訪問看護は週2回、理学療法士が訪問しました。疼痛緩和を図りながら筋力強化、バランス練習等の運動療法、歩行練習を積極的に実施しました。また、手指の巧緻性練習と同時に、家事や手芸などの趣味活動を誘導していきました。

利⽤後の経過

訪問看護開始から6か月後、歩行が安定し屋外歩行が可能になりました。以前取り組んでいた家事や手芸などの趣味活動に取り組むことが出来るようになりました。1年後、介護保険は非該当になり、訪問看護は終了しました。その後、短時間ですが仕事復帰されています。更に1年後、ご本人が車を運転して旅行することができたそうです。ご本人から「やりたいことができています」、「痛みはあるけど元気です」とお手紙がきました。