要介護2から1年後、介護保険非該当、仕事復帰した症例

事例

パーキンソン症候群の60代女性。自宅階段から転落し、脊柱圧迫骨折加療後、四肢の痛みと著しい機能低下あり、神経内科で内服調整していました。意欲低下や傾眠傾向、下肢の脱力から転倒を繰り返し、生活機能の低下がみられていました。転倒予防、日常生活活動の向上を目的に訪問看護が開始となりました。

⽀援内容

訪問看護は週2回、理学療法士が訪問しました。疼痛緩和を図りながら筋力強化、バランス練習等の運動療法、歩行練習を積極的に実施しました。また、手指の巧緻性練習と同時に、家事や手芸などの趣味活動を誘導していきました。

利⽤後の経過

訪問看護開始から6か月後、歩行が安定し屋外歩行が可能になりました。以前取り組んでいた家事や手芸などの趣味活動に取り組むことが出来るようになりました。1年後、介護保険は非該当になり、訪問看護は終了しました。その後、短時間ですが仕事復帰されています。更に1年後、ご本人が車を運転して旅行することができたそうです。ご本人から「やりたいことができています」、「痛みはあるけど元気です」とお手紙がきました。

介護付き有料老人ホーム職員と情報共有を図り、日常生活動作の自立・外出が可能になったケース

事例

パーキンソン病を発症し、介護付き有料老人ホームに入所していました。ベッドからの起き上がり等の基本動作は困難であり、車椅子介助での生活をしていました。日常生活動作の介助量軽減、歩行での移動方法獲得を目標に訪問看護が開始となりました。

⽀援内容

訪問看護は週に1回、理学療法士が訪問しました。筋ストレッチや筋力トレーニング等の運動療法を継続しながら、施設の住環境に合わせて基本動作や生活動作練習、移動補助具を活用しながら歩行練習を実施しました。介入から6か月後、体力の向上が図れた時点で階段昇降や外歩きなどの練習を導入しました。

利⽤後の経過

日常生活動作は車椅子レベルで自立し、調理活動などに参加するようになりました。移動補助具を使用することで階段昇降や屋外歩行が可能になり、退院後9か月目には通所サービスの利用を開始しました。発症後3年目の現在は構音障害、嚥下障害は改善みられ、食事は普通食に変更し、他者と積極的に交流するようになりました。歩行はT字杖+短下肢装具装着し1㎞程度の連続歩行が可能となり、ご家族と外出や旅行を楽しんでいます。

便秘症状に対して排便コントロールをご家族と共同で行うことで排便習慣が確立したケース

事例

パーキンソン病の70代男性。便秘症状から下剤を処方されていましたが、必要性を理解されず服用していませんでした。また、ご家族は長時間の座位保持は困難でトイレ排泄はできないと認識され、排尿は尿器、排便はオムツ内で排泄していました。 便秘症状の悪化予防と生活環境を整え、ご家族の排泄ケアの負担を軽減するため訪問看護が開始となりました。

⽀援内容

訪問看護は週1回、全身状態の確認、内服管理、排便習慣と排便姿勢の確立を目的に看護師が訪問しました。開始当初、毎日少量の排便ありますが、便の性状は固く、腹圧がかけられず、快適に排便できないことが解かりました。看護師の訪問頻度を週2回に変更し、排便コントロールの確立に向けて浣腸や座薬使用、腹部マッサージや摘便など便の排出を援助しました。ご家族と排泄ケアをしながら、排便について正しく理解できるよう説明・指導しながら、定期的な下剤の内服を依頼しました。その後、トイレで安楽・安全な坐位姿勢が保持できるように福祉用具を導入し、トイレでの排泄が習慣化できるように関わっていきました。

利⽤後の経過

内服が正確にできるようになり、腹部症状も隔日→週1回→隔週と出現回数が減少しました。また食欲も維持され体重もキープされています。表情や言動にも変化が見られ、訪問開始時にはうつむき加減で笑顔も少なかったのですが、今では訪問中ネガティブな発言も減り、大笑いすることも多くなりました。