内服カレンダーを使用し、薬の重複内服が改善されたケース
一年前から下痢と便秘を繰り返す腹部症状が出現していましたが、検査しても原因が不明でした。過去にトラウマとなる出来事があり、うつ病の既往がありました。常に食欲もない状態でした。高齢のため薬も自己管理できておらず、薬局にて残薬調整がされている状態であったため、訪問看護開始となりました。
月に2回内服薬を管理することと、食生活の観察目的で訪問。同時に週1回のリハビリも開始になりました。認知力は維持されていたため、2週間分の薬をカレンダーにセットすることから開始しました。また食事の内容を聴取し、食事面の工夫をアドバイスしたり、訪問時は毎回体重測定を行いました。お話を傾聴する時間も設け、トラウマとなっている出来事や日常の困りごとや不満を聞くことで精神的なストレスを軽減するように努めていった。
内服が正確にできるようになり、腹部症状も隔日→週1回→隔週と出現回数が減少しました。また食欲も維持され体重もキープされています。表情や言動にも変化が見られ、訪問開始時にはうつむき加減で笑顔も少なかったのですが、今では訪問中ネガティブな発言も減り、大笑いすることも多くなりました。
訪問看護の利用を契機に断酒に成功したアルコール依存症のケース
X年アルコール依存症の診断を受けました。断酒に成功していましたがX+2年再飲酒し、X+5年に食生活の乱れから栄養障害となり1ヵ月間入院。退院後、居宅サービス(通所介護、訪問介護)を利用し、独居生活を送ることになりました。健康状態やアルコール摂取状況の観察、緊急時の対応、医療機関との連携を目的に訪問看護が開始となりました。
訪問看護は看護師が定期的(週2回)に訪問し、全身状態とアルコール離脱症状の有無、生活環境や生活リズムの変化、確実に内服できているか確認しました。活動量の減少により、低体力、歩行バランスの低下がみられていた為、筋力強化や屋外歩行練習を実施し、運動の習慣化を支援しました。飲酒した場合はご本人が告白して相談できるように傾聴(信頼関係を構築)し、関係機関と情報共有しながら関わっていきました。
訪問看護の利用により定期受診は継続され、体調を大きく崩すことなく経過しています。断酒会は再開できていませんが、訪問時に20~40歳代の飲酒量や楽しかった事を懐かしむように話す機会が増えています。訪問看護や居宅サービスの利用で断酒は継続でき、衣服や住環境、食事摂取量や生活リズムの乱れなく、健康状態は維持されています。訪問看護が定期的に運動介入することで、身体機能や生活機能の低下はみられていません。